展示会構成

5章 紛争 大切ないのち―なぜ人類は殺しあうのか?

核兵器・テロ
湧き上がるエネルギー、清らかな魂は奪えない

「アイゴー(哀号)!」 広島市に原爆が落とされた時、 張福順さんが聞いた母の悲鳴だった 在日コリアンへの差別、貧困、そして原爆被害 私らに何の罪がある。 どうして半焼きにされるのか・・・ 彼女もまた原爆による放射線で体を蝕まれた 何重にも縛り付ける差別は、生活に暗い影を落としていた 涙があふれ出た。「もう、だめだ」と何度も思った 不死鳥―ふとよぎった言葉だった 心の中で湧き上がるエネルギーが彼女を前進へと駆り立てた 戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさ、差別の醜さを体験者として伝えたい 「力がないなら力をつけよう! 知識がないなら、勉強しよう!」 50代で夜間中学・高校に学び、62歳で大学卒業 使命という金色の翼が輝き、大きくはばたいた 現在は高校教師、識字教育支援と多忙な日々を送る 彼女の願いは今、草の根の平和活動をする世界の青年たちに広がっている

紛争と地雷
あきらめるのはやめよう

限界は超えられる 「義足さえあれば、僕は走ることだってできるのだ …僕は走ることで一つのメッセージを世界の人に贈りたいと願っている」 『限界』という概念を自分で作り簡単にあきらめるのは、やめようということ。 『限界』に挑戦することがいかにすばらしく、自分を、世界を 可能性に満ち溢れたものに変えていけるかということだ」 『地雷と聖火』クリス・ムーン著 1998年、長野・冬季オリンピックで聖火ランナーとして疾走した クリス・ムーンさん。カンボジアで地雷撤去中に地雷を踏み、 手足を吹き飛ばされ、右手と右足の一部がありません。 事故のショックを持ち前のユーモアで跳ねのけ、 彼はもう一度前進することを決めました。

紛争と難民
生きる力を再び

照りつける太陽が大地を赤く染めて、燃え上がっているように見える 気温50度―信じられないような灼熱の赤い道に どこまでも続く緩やかな黒い帯 不思議な曲線を描くその黒い線はよく見ると人びとの連なりだった 黙々と前進するその人々は「難民」と呼ばれていた たどり着いた場所は決して安住の地ではない けれども、再生の力を取り戻すため、精一杯今日を生きる 「この人を何とか助けたい」難民仲間の治療にあたる、元医師や看護師たち 「私一人で、この子を育てる」服を作って売り、 ミルクを買うチャイルド・マザー 「ずっと一緒に暮らしていこう」地元住民と難民との 共生社会が築かれる地域も 1人では立ち上がれない時もある 多くの人たちの協力が希望を生み出していく 空爆と避難を何度も経験したアフガニスタンの青年は語る 「夢を持ったら離さない。 環境や状況に“負けない心”が 今も僕を支えている」 彼が働く学校は年齢制限がない 少年・少女からお年寄りまで、瞳を輝かせて勉強している 何度も絶望のふちに立たされながら、夢をあきらめない心に再生の力は蘇る

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